借金 いつまで子・孫に押し付ければ気が済むのか?

 20日朝刊、『ギリシャ12万人「緊縮ノー」』「48時間ゼネスト開始」の記事。EUの各国がギリシャの財政破綻をどうやって防ぐかと協議している最中に当のギリシャが無責任にもこのありさま。しかし、記事を読むとギリシャの若年層の失業率は40%を超えるという。こういうことになったのも財政破綻を隠してギリシャ国民を欺いていたこれまでのギリシャ政府に責任がある。

 一方、日本はどうか?今でこそ日本の借金が900兆円位になったことは明らかにされているが、小泉以前まではこの借金を国民に隠し続けてきたことは、何回かこの随筆に書いた。あの宮沢さんが「日本は既に破綻している」と発言した時、当時の自民党政権は余計なことを言うなとその発言を封じた。この体質、ギリシャとどこが違うというのか。

 自民党の政治家は、この日本の借金について、国民の金融資産が1400兆円あるから900兆円位の借金は問題ないと嘯いていた。私はこの意味が全然分からなかった。最近やっと分かってきたが、こういうことであった。日本政府の発行する国債は、国民が貯金した金で銀行などの金融機関が購入している(国が暗に圧力を掛けて買わせている?)からまだまだ余裕があるから大丈夫。まだまだ借金できるということらしい。

 一方、最近読んだ「日本は没落する」朝日文庫で著者の榊原英資氏は、この借金について、本来税金で徴収するべき金を徴収せずに国債で賄ったのが、現在の日本の借金なので、国民が現在貯め込んでいる900兆円は本来税金として徴収すべき金だったのだ、と言っている。

 この赤字国債、現在でも自民党議員を中心に全く反省の色が見えない。本来ならこの日本の借金、恩恵を受けた中高年以上が責任を持って返しておくべき借金ではないのか?それを自民党政権は国民をだましながらずっと先送りしてきた。

 増税は、この不況下でするべきでないなどと知ったようなことを言うが、あの小渕首相と経済企画庁長官だった堺屋太一は何と言っていたか。「この不況下だから経済浮揚のためにはどんどん借金してでも金をつぎ込むべきである。景気が回復したら税収が上がるからその時返せばよい

 その結果がどうなったかは自明である。榊原英資氏の本の題名ではないが、日本は没落していくだろうと思う。景気が良くなることもないだろう。景気が良くならないから税収の自然増も望めないだろう。従って、不況下であっても増税して借金を返していくしかないだろうと思う。

 20日夕刊、『所得増税 実施15年間』「民主、自民と協議へ」の記事。東日本大震災の復興財源の確保の話である。野田政権は復興債の償還期間を10年を基本にしていたらしいが、公明党が15〜20年に、自民党は60年を主張しているという。これこそ現在のために、借金は、子や孫に全て先送りしようとする昔の儘の体質を未だに持ち続けている証拠なのである。

 今、子どもの国民年金を肩代わりして払ってやっているが、破綻、没落が確実な日本に将来があるとは思えない。子どもの国民年金を払うことは完全に無駄になるのではないかと思う今日この頃である。
 それにしても日本は緊張感のない、異常な国である。正に破綻が明らかにされる前のギリシャの状況に似ているのではないだろうか?

 その責任の一端は、日本のマスコミにもあるのではないのか。

(2011年10月20日 記)

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